男性の方が発症リスクは高い?糖尿病とは?
糖尿病といえば、今や日本人の5人に1人は罹るといわれている国民病です。
糖尿病とは、何らかの理由で、膵臓から分泌されるインスリンの作用が不十分となり、血液中のブドウ糖を上手く体内に取り入れられなくなり、ブドウ糖が尿の中で出てしまう病気です。
糖尿病には、生まれつき膵臓がインスリンをほとんど作らない為に、体の中のインスリンが足りなくなって起こるⅠ型糖尿病と食事や運動などの生活習慣の不摂生によって、インスリンが足りない、またはインスリンの作用が十分に作用できずに起こるⅡ型糖尿病に分けられます。
日本人の糖尿病の殆どが、Ⅱ型糖尿病である為、普通糖尿病といえば、このⅡ型糖尿病のことを指します。
この糖尿病ですが、日本人でいえば男性の方が発症リスクは高いとされています。
これは糖尿病の発症リスクの一つである肥満が女性よりも男性の方が多いこと、性ホルモンのバランスで、女性の方がもともと男性よりもインスリンが効きやすいことが理由であると考えられています。
糖尿病の原因は先述の通り、インスリンの分泌が少なくなったり、働きがわるくなったりする為です。
日本人は遺伝的な体質として、インスリンの分泌が弱い人が多いといわれていますが、その遺伝的な体質に加えて、暴飲暴食や運動不足、肥満、ストレスといった生活習慣の不摂生や加齢などによって糖尿病が発症すると言われています。
糖尿病は軽度の場合は自覚症状が見られないことが多いのですが、血糖値が高い状態が続くと、尿の量が多くなる、喉が渇く、体重が減る、疲れやすくなる、などの自覚症状が現れます。
ただ、自覚症状だけでいえば、糖尿病自体は、そんな怖い病気ではありません。
怖いのはその糖尿病に付随して起こる合併症です。
糖尿病の合併症には、手や足が痺れ、感覚が鈍くなる末梢神経障害・進行すると失明する危険のある糖尿病性網膜症・腎臓に障害が起こり、進行すると人工透析が必要になる、糖尿病性腎症・少しの傷でも傷口が壊疽を起こし、切断の危険性がある糖尿病性壊疽、などがあり、いずれも生命の危険や生活に大きな支障を来す怖いものばかりです。
東洋医学からみた糖尿病とは?
さて、東洋医学には「消渇」という病証があります。
消渇とは、のどがよく渇く為に水をよく飲み、多尿になる。
また多食にもかわらず痩せていく病証のこといいます。
症状の特徴からいって、東洋医学でいう消渇は、今でいう糖尿病に当たると考えられています。
東洋医学では消渇がおこる要因として、次のようなものがあると考えられています。
- 長期にわたって甘いものを食べたり、美食生活、飲酒生活を続けていると、東洋医学でいう脾胃を損傷して、胃に熱が籠って消渇がおこる。
- 長期にわたって思慮過度、情緒不安などによりそれが熱化し、東洋医学でいう肝臓の気が昂り、それが元で消渇がおこる。
- 加齢や過労、慢性疾患による消耗、房事過多(性行為のし過ぎ)などによって東洋医学でいう腎が弱ることで、消渇がおこる。
これは、昔の人も糖尿病がインスリンの作用不十分によって引き起こされる病気であることを知らなかったにも関わらず、糖尿病がどのような原因で起こり、どのような症状を表すかを正確に知っていたということで、これは本当に驚くべきことだと思います。
東洋医学でいう「未病を治す」とは?
糖尿病は、一度発症すると完治はしない病気で、恐ろしい合併症を伴う厄介な病気ですが、普段の生活習慣を改め、血糖値をコントロールすることで、或る程度進行を止めたり、発症を遅らせることのできる病気です。
東洋医学の基本的な考え方の一つに、「未病を治す」というものがあります。
未病とは、未だ病気に為らざる状態のことを指し、病気とまでは言えないが健康状態のバランスを崩した状態のことを言います。
その未病の状態を日頃の養生法によって病気になるのを防ぐというのが、東洋医学の基本的な考え方です。
糖尿病での血糖値のコントロールは、まさに東洋医学でいう「未病を治す」の考え方に通ずるものがあり、現代医学でいう予防医学に通ずるものがあるのではないでしょうか。