便秘は女性に多く、下痢は男性に多い
一般的に便秘は女性の方が多く、下痢は男性の方が多いと言われています。
実際30~40代の男性の4割以上の方が、自身が慢性的な下痢持ちであると認識している、という統計があるくらいです。
女性では3割程度の結果なので、確かに下痢で悩んでいる人は、男性の方が多いのかもしれません。
そんな男性に多い下痢症状ですが、これには理由があるようです。
よく学生の時、テスト前に緊張した時に、お腹が痛くなって下痢をしたという経験のある人は多いのではないでしょうか。
このように腸はもともとストレスの影響を受け易い臓器で、男性の方が女性と比べて、同じストレスを受けても、そのストレスに対して弱いというのが男性の方に下痢が多いという結果に繋がっていると考えられます。
ストレスを発散する女性ホルモンが男性になく、ストレスを溜め易い男性ホルモンが多く分泌されるせいで、男性の方がストレスの影響を受けやすいのです。
またサラリーマンの場合は、男性の方がストレスを受けやすい環境にある人が多いというのもあるのかもしれません。
ストレス以外にも、脂肪分の多い食べ物を好んで食べたり、コーヒーや緑茶などカフェインの多く含む飲み物を好んで飲んだり、アルコールを良く飲む人、暴飲暴食を繰り返す人は下痢になりやすいといわれています。
男性の下痢は過敏性腸症候群であることが多い
このような男性に多いストレスによる慢性的な下痢症状の多くは、過敏性腸症候群だと言われています。
過敏性腸症候群の診断は難しく、検査をしても腸にはまったく異常がありません。
その為、下痢や便秘で内科を受診した時に、検査によって異常が認められない場合の多くが、この過敏性腸症候群と診断されるということになります。
過敏性腸症候群は、下痢だけでなく、コロコロとしたウサギの便のような硬い便が出る便秘型、便秘と下痢とを交互に繰り返す交代型など、さまざまなタイプがあります。
ストレスによって腸管が痙攣を起こすのが原因だとされています。
東洋医学からみた男性の下痢
さて、このような男性に多い慢性的な下痢、東洋医学ではどのように考えられているのでしょう。
東洋医学では、下痢は痢疾と泄瀉に分けられます。
痢疾とは、不潔な野菜や果物、生ものを食べたり、夏の時期に暑湿の毒に侵されたりして、胃腸を損傷すると起こる下痢で、今でいう食中毒や食あたりがこれに当たります。
泄瀉とは、下痢のうちでも、泥状あるいは水様性の便で、排便の回数が多く、排便時に所謂しぶり腹を伴わないものを指します。
泄瀉には、急性泄瀉と慢性泄瀉があり、男性に多い慢性的な下痢のこの内の慢性泄瀉に当たると考えられています。
慢性泄瀉には、東洋医学でいう肝臓と脾臓の不調によるもの、脾臓と胃が虚弱なもの、腎の陽気が不足しているものがあると考えられています。
東洋医学でいう脾臓は、今でいう消化器の機能を指す場合が多く、慢性下痢はこの脾臓の消化器の機能が弱ることで、正常に消化が行われないことで起こると考えられています。
男性のストレスによる慢性的な下痢の場合、過度のストレスが東洋医学でいう肝臓の気を昂らせ、肝臓の気と相克関係(互いに牽制し合う関係)にある脾臓の気を攻撃し弱らせる為に、脾臓の機能が低下し、下痢が起こると考えられています。
ですから、東洋医学では、男性のストレスによる下痢への対処としては、脾臓の気を温灸などで補いつつ、昂っている肝臓の気をハリで落ち着かせることが大切とされています。
このように、東洋医学からみても、ストレスが下痢に大きく影響していることが分かると思います。
特に男性の場合、ストレスを溜めこみやすい傾向にあるので、下痢を改善するには、上手くこのストレスを発散させることが大切です。
没頭できるような趣味を作ったり、休養をしっかり取る、家族や友達との楽しい時間を作るなど、自分なりにリラックスできる方法を考えてみるようにしてください。